パンにパン?

以前台湾人の知り合いが台湾の油條燒餅を「パン」で「パン」を挟んだ料理と日本のテレビ番組で紹介されたと、Facebookに投稿したのですが、台湾人にとっては中華揚げパンこと、油條は必ずしもパンと認識していないようです。

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では両国において「パン」はそれぞれどのように定義しているのでしょうか。

 

日本語では、辞書的に次のように説明されています。

①小麦粉やライ麦粉を主原料にして水でこね、イーストを加えて発酵させてから焼き上げた食品。(以下省略)

出典:『精選版 日本国語大辞典』

 

一方の中国語では次のように定義されています。

粉和水發酵之後熟的食品(小麦粉と水で発酵させた後、焼き上げた食品)

出典:『新編國語日報辭典』

 

いずれも小麦粉を水で練って、発酵した後に焼き上げた食べ物と定義しています。

ただ実生活上では、日本ではこれに加えて、基本的に甘くない、「外国」由来のふわふわした小麦粉加工物というニュアンスが付きますが、台湾では、「外国」由来の部分が「欧米」由来に変わるイメージでしょうか。

つまり外国由来か、欧米由来かの違いにヒントがありそうです。

また油條は味と食感ともにパンに近い部分があり、日本人がパンと認識するのも頷けます。

 

他方で両国の食文化を比較すると、日本では「瑞穂国」が日本の別名とされているように米は最上位にあり、小麦は地位的に米と大きな隔たりがあります。しかし台湾では米と小麦との間に大きな地位の違いはないようです。台湾の伝統的な朝食店を除くと、日本よりもバラエティー豊かな小麦粉料理に目移りしてしまうほどです。

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また歴史的にも米食中心の日本の食文化に対して、中国北部(華北地域)の小麦粉食文化が台湾の食文化に影響を与えていることを考えると、台湾の方が発酵し焼き上げた小麦粉食品に対するカテゴライズが日本よりもリードしているということも想像に難くありません。

 

このように小麦粉食にまつわる文化的な背景や歴史的な背景の違いが油條燒餅を通じて表面化しているといえるのではないでしょうか。