バカなる麺
留学ビザなどの申請でお世話になる移民署。
その近くに傻瓜乾麵、日本語で「バカ麺」なるものを看板に掲げる食堂があります。
この不思議な名前の麺を注文すると、茹で上がった麺にラードとネギがかけられたものがサーブされます。これに烏醋(ウスターソース)やラー油、食べる唐辛子的なものを混ぜて食べる麺料理です。
さてその不思議なネーミングの謎。
この傻瓜乾麵そのものは戦後の1950~60年代に福建省から渡ってきた人が小南門で売っていた汁なし麺にさかのぼるのですが、ネーミングについては諸説あり、はっきりしません。
中国語版wikipediaでは次の3つの説が紹介されていますが、他の解説もおおむねこのような説明です。
1.作り方が簡単でバカでも作れるから
2.お客のために苦労をいとわず、見返りを求めず、精を出すという経営理念はバカでこそできることだから
3.昔注文する際に「汁なし麺を作ってくれ」という台湾語「煠寡乾麵」の「煠寡」(sa̍h kuá)が中国語の「傻瓜」(バカ)と同じ発音で、そのうち汁なし麺を「傻瓜乾麵」と呼ぶようになったため
ちなみに発祥の地に立つ「小南門福州傻瓜乾麵」(冒頭で紹介した食堂)では、3番の説が採られています。
この傻瓜乾麵に限らず、字面通りの意味ではなく、音訳などで表記されているものもあるので、商品名はなかなか奥が深いです。